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『だって、八尋さんは狼のオレを可愛がりたかったんじゃないかって……』
主人公は、日本人と狼人間(ルーマニア人)とのハーフなのだそうだ。満月とその前後、3日間だけ任意に狼に変身できるとともに発情期に入る。でも、まだ高校生だからかハーフだからか、子犬みたいな狼にしかなれず、犬好きの先輩に愛されてカラダをやりすごす。 シリーズ第2弾にあたる本書の前作は、『調教メタモルフォーゼ』。 つまり、人としてはなんとなく抵抗のある「調教」や「監禁」というシチュエーションも、半分けものということで「あ、だったらいっか」と読者は受け容れることができる。これは、作家のファンタジーによって用意された周到な装置だ。すまん、もはやこれまでだ。 ……『しあわせにできる 10』の次に本書を読んだのは、明白な過ちだった。せっかく、初めて感情移入できかけてたのに。 そう。つまらないと言うより、どこを面白がっていいやらわからなかった『しあわせに(略)』について、「王道ラブ」と言い切られた(ツキモノに)。 言われてみればその、平凡な――というには決定的な部分で語弊があるが――人生のなかの、穏やかな持続する愛情の意味だとか、大切な人だからこそ些細なことで振り回される微妙な心のゆれだとか、たしかに共感しかけていた。 で、 『よーし。これからできるだけ、八尋さんとラブラブして、母さんに見せつけてやる!』 これを言ってのけるのが狼少年の主人公、和人くん(18)。親不孝な。 できるだけ飽きないように、傾向の異なる書名を順に読んでいくプランが裏目ったようだ。同ジャンルで「売れてる」ということのみをコンセプトに読書していくから、こういうことになる。この『しあわせにできる 10』と『監禁メタモルフォーゼ』、連続して読んだ人間が果たして世間に何人いるのか。 売れる本を作りたいから、続けている読書なのに、なんかすごく矛盾してないか。 てか、さっきコンビニのおばちゃんから「新庄剛志のお尻のセクシーさ」について語られた。私は読み書きと料理、それに飲酒だけして暮らしているから世間には疎い。 だから「新庄剛志の尻のセクシーさ」が、ほぼ初対面の成人女性の話題としてポピュラーであるかどうかについても、自信はないのだけど。 ……こんな本ばっか毎日読んでいるから、なんか私、へんなオーラを出してる?
by tokyo_ao
| 2006-10-28 22:51
| 無謀/BLを総括する
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