夜は飲みつつ料理三昧(禁酒やめた)


34歳兼業主婦出版系
by tokyo_ao
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Lesson12.『寒冷前線コンダクター』

 『すみませんでした…。こんなことは二度としません……誓います』

 前回とりあげた『おうちのルールで恋をしよう』(←男どうしのセミ近親相姦に萌える本)は、オビが「愛してる、俺の可愛い父さん(はぁと)」だった。男性が一生言われたくないセリフとして、かなり高位につけると拝察する。
 それに対して、本書のタイトルは実に健全だ。オビは付いていなかった。

 「2006年現在の売れてるBL」を読んできたが、今回からしばらく「売れてるBLシリーズの第1作」を読んでいく。本書の初版は、今から12年前の1994年。BL小説のタイトルが一般に、まだあられもなくならない時代の発行なのだ。
 そして神田の三省堂本店にふつうに並べてあったのは、2005年6月30日発行の19版。強姦から始まる男どうしの恋物語らしいのだが、立派なロングセラーとなっている。

 本書が初の文庫化だという作家・秋月こおは、斯界の金字塔『JUNE』誌からデビューしている。当時連載していた中島梓(栗本薫)の「小説道場」で、腕を磨いていたそうだ。
 なお第1回でとりあげた吉原理恵子は、『小説JUNE』創刊第2号(1983年)が商業誌の初出であり、いまだにトップセラー。その記録には及ばないものの、だいたいこの人たちの足跡が、そのまま日本のBL小説の歩みと言っても過言ではないだろう。

 そんな秋月こおが選んだのは、指揮者とコンマスのカップリング。この設定の妙が、ロングセラーの秘訣だろうか。だって職業に貴賎は無いとはいえ、どっちが男役だか、わかりやすいことこの上ない。というか、「下克上」――萌えカテゴリの一種として、既に実在するらしい――が好きな人以外には、指揮者という職業の属性は、考えてみればあからさまではないだろうか?

 それに対するコンマスは、メガネ。
 この時代、メガネはまだ「平凡」や「まじめ」の記号として機能していたことを窺わせる。のちの「クールビューティー眼鏡受け」(from『恋は淫らにしどけなく』)、果ては「眼鏡をかけた男をウリにした」(from『今宵、眼鏡クラブへ。』)まで至る道筋が、見えない。

 メガネ問題と体臭問題、姫問題や皇帝問題など、読み解くべきサブカテゴリが無駄に増えてきた気もする。今の私に出来ることは、1つ1つを無念無心に解決していくことだけだ。

 それより何より問題なのは、本書がそもそも雑誌連載の文庫化であるという事実だ。早い話がこの話、ぜんぜん完結していない。いや、シリーズ物であれば完結していないのは当然だが、文庫書き下ろしのスタイルに慣れてしまった読者としては、これは辛い。  
 主人公の2人が「友人」に戻って、本書は終わる。男が男に強姦されてソレはありえない、以上に、物語の構成としてありえない。

 だからBL専門の古本(通販)屋に、会社名義の領収書を出してもらえるのか、問い合わせ中。あ、コレがロングセラーの秘訣の一環か。
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by tokyo_ao | 2006-11-17 01:11 | 無謀/BLを総括する
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