夜は飲みつつ料理三昧(禁酒やめた)


34歳兼業主婦出版系
by tokyo_ao
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Lesson16.『ハチミツ浸透圧』

 今回、引用はナシ。本書が私の手許にないのは、酔った勢いで友人に貸してみたからだ。
 『こんなの借りてくれる友だちがいた』という驚きを、引用文よりも今つたえたい。

 なんでも我が友は就職活動中で、現実逃避のすべを読書に求めているのだそう。
 いかにも、BL小説は人生について考えさせられる要素が著しく少ない。ないと言ってもいい。
 現実逃避の一法を試みるとき、だまされたつもりで男性もBL小説を手にとってみてはどうだろうか。

 そういえば、「パイナップルとひじきのサラダ」というレシピが手持ちの料理本にあって、「意外なおいしさにビックリ」だそうだ。だまされたつもりになる気にまだなれん。
 ひと様に薦めときながらこんな連想してるようじゃダメだ。

 本書はタイトルがわかりにくいので、先に解説する。
 主人公が幼なじみに「どろっとした好き」という感情を抱いているから、ふたりの心に、互いの気持ちが染みこみ合うまでが大変なのだそうだ。
 大変というか、BL以外の小説だったら、そのあとに起こるのは惨劇だと思う。

 幼なじみというのがまた、17歳の運動部員(剣道)という設定のせいか、性欲が大変なことになっている。理性に反してどうにも止まらなくなっちゃった男の子を、Lesson16にして初めて見た。
 しかし17歳のすぐれて健康な男子であれば実際こんなもんのはずで、リアリティという点で首肯せざるを得ないのがなんだかな。リアリティ? なにか忘れてないか。

 初めてといえば、10代の男役というのも初登場である。これは予想と大きく異なるBLの「今」だ。
 思い出話になるが、まだBLが「やおい」というどこか淫靡な隠語で語られていた時分、それは限りなく「少年愛」に近い世界ではなかったか。
 14歳とか17歳とかいう言葉自体に、我々は詩情を感じ――ごめん、劣情でいいや――、今の言葉で言えば「萌えワールド」を展開させ得たのではなかっただろうか。

 それが今や、「17歳」は「さかんな性欲」をもたらす設定に過ぎない。
 実際この17歳、上記のどうにも止まらない状態になっちゃったあと、今度は自己嫌悪から主人公に触れられなくなる。で、主人公が泣く。実に17歳だ。

 本書はそこらへんの心理描写がきめこまやかな佳作である。
 ……さよなら私のトポス。
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by tokyo_ao | 2006-12-22 20:29 | 無謀/BLを総括する
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