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夜は飲みつつ料理三昧(禁酒やめた)


34歳兼業主婦出版系
by tokyo_ao
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Lesson.13『エス』

 『浅ましい姿も恥ずかしい姿も、今はすべてさらけ出せる。宗近を無心に欲しがる素直で淫らな自分を、心のどこかで愛おしく思っているからかもしれない』

 ……ソレは、さらけ出せなくていいのではないか。
 あと、愛おしく思わないほうがよくないか。

 素朴に突っ込んでしまう読者にとって本書は難解なテキストだ。実際、BL読書13冊目にして、初めて再読した。おもしろくて再読するなら読者冥加だが、ちがう。
 「どうしてそうなの」「なんでそうなるの」という疑義が多すぎるからだ。すべて保留にしながら読み進めていたら、保留のままに読了して唖然とした。

 再読して、ようやく得られた本書の主旨は、「極論」。
 たとえば上記引用にしても、「さらけ出していいのかもしれない(この人の前なら)」、「(こんな自分を)認めてもいいのかもしれない」、くらいのニュアンスにしてはどうか。そうすれば、より多くの読者の共感が見込まれ……ないのが、2006年の現実だ。

 BL分野の売り上げランキングを丹念に見ていくと、いかに当該ジャンルが売れ筋とはいえ、少数の作家による寡占状態であることは否めないことが分かる。英田サキによる全4巻のランキングを、amazonの敢えて総合ランキング(本)で見てみる。
 第1部(本書)…975位
 第2部-咬痕- …4929位
 第3部-裂罅- …2125位
 第4部-残光- …660位
 (以上、2006年11月30日現在)

 ……いくら完結編である第4部の発売直後とはいえ、この高順位はなんなのか。腐女子しか買わないのにさ。
 版元である大洋図書さんと同じくらいの知名度をもつ出版社で、1冊amazon3ケタを叩き出したら、その担当編集さんがどんなに自由になれるか生憎じかに知ってる。
 
 というか、道理で住所に見覚えがあるような気がしてたら、日ごろお世話になっております版元さんと同一グループだった。
 私が校閲させていただいた本は、6ケタだった。企画の段階で請け負ったべつの版元さんの本も、6ケタだけど。まずは今後、提案型の営業を心がけさせていただきたいと思う。

 ただ、本書の口絵は非常に恥ずかしい。りっぱなエロ本。町の本屋さんでコレ1冊、領収書を貰わずに買えるかと問われれば、買えない。罰ゲームだったら浮世の義理で、買う。  
 amazonで買いたくなる(通販でしか買いたくない)気持ちも、分かる。
 だれが買ってるんだよという、恐ろしさだけが残る。

 これだけ売れてるので、きちんと全4冊買って、次は逃げないレビューを心がけます。 
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by tokyo_ao | 2006-11-30 01:19 | 無謀/BLを総括する

Lesson番外2.プランタン出版と相貌失認の疑い 

 これだけ下品なブログをつけてて今さらあれだが、プランタン出版(フランス書院文庫)の口絵は下品すぎると思う。本を手にしてまず口絵が目に入り、びっくりとげんなりが綯い交ぜの気分で、思わず本を置いてしまう。びっくりとげんなりは緩急の差がある感情で、あまり綯い交ぜにはならない道理なのに、きれいに綯い交ざる環境もあることを知った。

 しかも、「少しずつでもいいから、毎日時間をとる(BL読書にな!)」と決めてたから、「今日は1ページも読んでないよ、どうした私」と、思った。
 そして本を手にしてまず口絵が目に入り……、以下繰り返してしまった。嫌な記憶は速やかに消去されるという都市伝説は、本当らしい。

 けど最近BL読書が進まないのは、なにもプランタン出版の口絵のせいじゃない(いばるな)。

 学術情報冊子と映画のノベライズ、啓蒙書とライトノベルとハリウッド映画原作を、1週間で校正する羽目になったからだ。ターミナルケアで日中合作で、自己啓発で学園秘密結社で全米が泣いた1週間だった。
 病気になるかと思ったら、なった。自分の感受性にちょっと信頼が増した。

 ただ1つ不安なのは、忙しいといっても活字だけ読めばいいので人間からずれていく気がする。3番目に片づけた「啓蒙書」に、小学3年から15年以上引きこもっていた男の子が、人知れず統合失調症を発症していた事例が載ってた。怖くなった。

 先々週、高校生くらいの男の子がじっと私を見ているような気がした。「なに見てんだよ?」と見返して、一瞬目が合って、彼は何かあきらめたように視線を逸らした。
 もしかして、前日に道を尋いてきた男の子なのかと、やっと心づいた。

 いや尋いてきたのじゃなく、正確には彼が二十歳くらいの女の子に、「すいません」「すいません」を激しい調子で繰り返していた。単に「すいません」のあと、たぶんトで始まる言葉を続けようとしてつっかえてるだけなのだが、状況を理解できない女の子はおびえていた。
 ちょうど校閲した雑誌に、「吃音が取りもつ縁」と題するページがあって、「ふたりともトロが食いたいのに言えないからイカばかり食ってた」というフレーズが頭に残っていた。

 「トイレですか?」と、念のため尋いてみると、絶望的な目をされた。
 ――そうよね、この年頃の男の子が、トイレの場所をうら若い女性に尋くまい、残酷なことを言ったよ――とそこで閃いて、「東京××専門学校」と言ってみたら、「東京××専門学校は、あっちのほうですか?」と。

 しかし私はヒトの顔を覚えるのが本当に苦手で、昨日のあの子が今日のこの子かなんて考えると、「天文学的数字」とかいうタームが浮かぶ。結局その子を無視した。

 そして先週、財布を拾ったら近所の学校の学生証が入ってた。届けに行ったら、入り口のあたりで、しかめっつらの女の子がバタバタ走ってた。
 学生証の写真の子と、似ているかもしれない。私には判断できない。
 事務所に届けてエレベーターを降りたら、やっぱりその子が走り回っていた(←この場合は服が同じなので判別できる)。

 鋭いさげすみか感謝の念か知らないが、私に向けたかった男の子と、泣きそうになりながら財布を探し回っていた女の子。しかも両方とも私の妄想かも。ちゃんと顔を覚えられる人間だったらと、つい思ってしまう。
 
 とりあえず年内には検眼に行こう。
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by tokyo_ao | 2006-11-22 02:42 | 無謀/BLを総括する

Lesson12.『寒冷前線コンダクター』

 『すみませんでした…。こんなことは二度としません……誓います』

 前回とりあげた『おうちのルールで恋をしよう』(←男どうしのセミ近親相姦に萌える本)は、オビが「愛してる、俺の可愛い父さん(はぁと)」だった。男性が一生言われたくないセリフとして、かなり高位につけると拝察する。
 それに対して、本書のタイトルは実に健全だ。オビは付いていなかった。

 「2006年現在の売れてるBL」を読んできたが、今回からしばらく「売れてるBLシリーズの第1作」を読んでいく。本書の初版は、今から12年前の1994年。BL小説のタイトルが一般に、まだあられもなくならない時代の発行なのだ。
 そして神田の三省堂本店にふつうに並べてあったのは、2005年6月30日発行の19版。強姦から始まる男どうしの恋物語らしいのだが、立派なロングセラーとなっている。

 本書が初の文庫化だという作家・秋月こおは、斯界の金字塔『JUNE』誌からデビューしている。当時連載していた中島梓(栗本薫)の「小説道場」で、腕を磨いていたそうだ。
 なお第1回でとりあげた吉原理恵子は、『小説JUNE』創刊第2号(1983年)が商業誌の初出であり、いまだにトップセラー。その記録には及ばないものの、だいたいこの人たちの足跡が、そのまま日本のBL小説の歩みと言っても過言ではないだろう。

 そんな秋月こおが選んだのは、指揮者とコンマスのカップリング。この設定の妙が、ロングセラーの秘訣だろうか。だって職業に貴賎は無いとはいえ、どっちが男役だか、わかりやすいことこの上ない。というか、「下克上」――萌えカテゴリの一種として、既に実在するらしい――が好きな人以外には、指揮者という職業の属性は、考えてみればあからさまではないだろうか?

 それに対するコンマスは、メガネ。
 この時代、メガネはまだ「平凡」や「まじめ」の記号として機能していたことを窺わせる。のちの「クールビューティー眼鏡受け」(from『恋は淫らにしどけなく』)、果ては「眼鏡をかけた男をウリにした」(from『今宵、眼鏡クラブへ。』)まで至る道筋が、見えない。

 メガネ問題と体臭問題、姫問題や皇帝問題など、読み解くべきサブカテゴリが無駄に増えてきた気もする。今の私に出来ることは、1つ1つを無念無心に解決していくことだけだ。

 それより何より問題なのは、本書がそもそも雑誌連載の文庫化であるという事実だ。早い話がこの話、ぜんぜん完結していない。いや、シリーズ物であれば完結していないのは当然だが、文庫書き下ろしのスタイルに慣れてしまった読者としては、これは辛い。  
 主人公の2人が「友人」に戻って、本書は終わる。男が男に強姦されてソレはありえない、以上に、物語の構成としてありえない。

 だからBL専門の古本(通販)屋に、会社名義の領収書を出してもらえるのか、問い合わせ中。あ、コレがロングセラーの秘訣の一環か。
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by tokyo_ao | 2006-11-17 01:11 | 無謀/BLを総括する

Lesson.11『おうちのルールで恋をしよう』

 『安心しろ、たぶん天国にいるだろう母さん。浩一郎は俺が幸せにする。俺が幸せにしないで、一体誰が幸せにするんだ?』

 上記引用は、主人公(男役のほう)の独白。
 1文目の「母さん」は、主人公の実母。
 2文目の「浩一郎」はその2番目の夫で、主人公にとっては義父に当たる。
 3文目の主張がいかに間違ってるか、よくわかると思う。

 そしてこれが義父ならぬ義母(29)と息子(20)では、官能小説のベタな設定になってしまう。一方、義父(29)と娘(20)なら、まぁ何かなまぐさいが当事者がいいならば程度のしめっぽい幸せしか漂わない。

 ココに「男どうし」を持ち込んだのが、作者の勝利だ。
 そう、売れてるBL読書、11作目にしてやっと、確信犯のコメディに巡り会った。

 確信犯とはたとえば、「BLはちょっと」と言うかたにも「ココまでなら」と許されることがままある、よしながふみ。以下代表作の『アンティーク』から。
 高校のとき告白したのに(男に)、付き合ってくれなかったのは、もう付き合ってる人(男)がいたからなの? と詰め寄る旧友(男)に対し、

 「男を一億総ホモにするな!」

 そう叫ぶ、主人公のいるさわやかさ。
 そしてハードな恋愛描写を本編では遠慮のうえ、同人誌で書くその分別(それがなければ、「月9の原作」という地位を得ることは無理だったろう、さすがに……)。この客観的な視線のあらまほしさ。

 いっそ本書を脚本に起こして、小林賢太郎に「やって」って直訴したい。男夫婦のネタをごく自然にこなしてくれるラーメンズ、似合うと思うなあ。しかも男夫婦だと必ず片桐仁が女役なのに、『タカシと父さん』とかだと「父さん」が片桐仁。
 ……ぴったりじゃないか! 

 とりあえず、この作者の今後を追ってみる。
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by tokyo_ao | 2006-11-09 00:46 | 無謀/BLを総括する

Lesson.番外1『おすもうさんとやおい』

 月刊誌は既に年末年始ということで、『鍋』特集の校閲中。
 「好きな鍋」として「ちゃんこ」を挙げるの、もぉ禁止!
 ちゃんこ調べるとなると、力士も調べる羽目になるんだよ。

 力士について校閲する傍ら、BL小説のブックマークをつくっていたから、私のデスクトップは男のハダカだらけだ。実写とイラストという違いはあるが。もっと違うとこあるだろ。
 今日いちばん見た色って、肉色だ。青いものとか見たい。

 替え歌つくった。

 (草野正宗『ホタル』で、サビの出だしから)
 
 時を止めて 僕のデスクが
 男の肌で 染まってゆくよ

 ……やってみたら100%不快になると判ってることほど、やってみちゃうのは何故だろ。結局Mなのかな。
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by tokyo_ao | 2006-11-07 17:34 | 無謀/BLを総括する

Lesson10.『姫君は海賊にさらわれる』

 『だって、ぼくは、いたいけな子供とセックスしたりしてないもん!』

 「皇帝もの」に引き続き「姫君もの」を読むという段取りだったから、トラブルをまったく予想してなかった。だって、一見似たよなジャンルと思っちゃだめなのか。

 ……まったく違った。
 そういえば最近、ホモの女役を「姫」と称する風潮があって、それに反撥する人も少なくないことを、ゆきずりのやおいサイトで読んだ。なに言ってんだ私。

 いわば本書は、「姫」系の極北だ。
 なぜなら、いっそ主人公が女性であっても差し支えないのではないかという突っ込みを超え、もう男性じゃなきゃ機能しない「姫」物語だから。

 主人公は、地球規模の大災害を経て生き残ってしまう。この大災害については、小松左京先生が10年かけて為遂げなさったことの128倍の規模が、冒頭の1ページで為ったと思って頂くといい。

 「どうして僕だけ生き残ったの? 僕も家族のところへ行きたい」と、まだ若いのに墓まで掘ってる主人公を、生きてる以上は生きろよと、海賊が無理やり助ける。「命の尊さ」がリピートされ、ちょっとイイ話だ。

 そして体調が回復するや否や、クルー全員の性欲処理係にされかかる。性別を不問に付したら、海賊としては非常に正しい。イイ話はどこ行った。
 この期に及んで主人公を女性にはできないと思う。なまなましすぎるわ。
 
 ……ここで謎なのは、主人公が17歳という設定だ。カバーイラストのみならず本文の記述からも、まだ性別が未分化な13歳くらいの子供を想定させられる。平成17年の統計によると、男女の平均身長が逆転するのが13~14歳だ。
 ただし、「17歳」というのは主人公自身にも実は曖昧で――被災後の年月を覚えていないから――、海賊に知らされて初めて、10歳で被災した自分がもうじき18歳になることを知るシーンは妙にリアリティがあってちょっと息が詰まる。

 このような仕儀で、べつに何歳でもいいからこそ、なぜ「17」という数字が出てくるのか。
 もしかして「高校出たらセックスOK」という、現代日本一部女子のお約束がここに息づいているのか。ちなみに本書では「17」のとき「いたいけな子供」として扱われ、「18」の誕生日を過ぎてのちに、処女というと語弊がありまくるがまあそうでなくなる。

 なんだこの潔癖さ。
 あと、本書のレーベル「プラチナ文庫」のサイトを恐る恐る見たら、これで今月の新刊4冊ぜんぶ読んじゃったことに気づいた。「プラチナ文庫」って、「プランタン出版」という版元のレーベルだが、実はあの「フランス書院文庫」とおんなじ会社のだ。

 どんな痴女なんだ。
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by tokyo_ao | 2006-11-05 07:21 | 無謀/BLを総括する

Lesson9.『皇帝は彼を寵愛する』

 『国と国の問題を出せば、我々がこうしていることが間違いになる』
 『私もあのひとのために祖国を、そして私の名誉を裏切ってしまったのです…』

 上記の引用は、片っぽが『敵国の皇帝×帝国軍人の官能ロマンス(はぁと)』とか表4に書いてある上掲書、もう片っぽが、今日家人に連れてってもらったオペラ『アイーダ』から。ヴェルディとウクライナ国立歌劇場と家人に謝れ。

 前日に続き「皇帝もの」を読む。
 「皇帝もの」とは、既にジャンルとして確立している「リーマンもの」などと異なり、私が勝手に言ってるだけだが、悪くないカテゴライズと自賛しておこう。同義で「王様もの」としてもいいわけだけど、皇帝のほうは絶滅種であるだけ、あり得ないという点で正確だ。外交上のプロトコールで日本国の天皇のみ現存する皇帝という解釈もあることは、この際あまり関係ないだろ。

 「あとがき」から読む。
 先入観のない読書を心がける上では邪道といえるが、前日の教訓を踏まえないわけにはいかない。そもそも真の読者であれば、ノーインフォメーションでもシリーズものであることくらい分かる筈。インフォメーションしてよという切願はさておき、いちげんさんが「なんだこの世界は!」と騒ぐのは見苦しい。失礼を避けるためにも、当面はこのスタイルでいく。

 時は明治末期、ただし(ロシアをモデルとした)架空の国が舞台なので、あくまでも借景、と。
 なんて安心感だ。
 45ページ、時間も場所も定かでないままゆらゆら読んでしまった、前日の教訓が生きている。

 安心しながら読んでいたら、「皇帝」は初手から「帝国軍人」に平手打ちを公衆の面前でかました。理由は、かつての幼なじみなのに覚えてない(ふりをした)からだそうだ。これは予測できなかった。そして16折(256ページ)中の34ページめで、早くも私室のカウチに押し倒す。

 『先に無礼をなさったのは陛下でいらっしゃる。我が大使館に所属する者を勝手に拉致なさるという暴挙は、国際法上、どう解釈したらよいものか』  

 主人公の上司である「大使」の抗議は、心情的にはしごくもっともだ。しかし国際法はそこまで面倒みなかろう。
 それとこの「大使」は仮装パーティーでみごとな女装を披露しており、駐在国の「外務大臣」と、たぶん既にできてる。

 ……「あとがき」によればこの話、「新シリーズというか、まだシリーズにはなっていないのですが(笑)」だそうだから、今後の定点観測の対象として、タイムリーな作品と言える。
 次作は年明けくらいかしら。たぶん読むよ。  
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by tokyo_ao | 2006-11-05 04:05 | 無謀/BLを総括する