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50歳のフリーアルバイターの話は、先日した(10月27日「最近、真性のバカを見てない気がするが……」参照)。
高学歴・入社試験きわめて優秀・無職・無妻子の、一見シャイボーイ。よく見れば白髪と皺とで、立派な「おじちゃん」と「おじいちゃん」の間なのだが。 いったいどんな性格上の難があって、そういう仕儀になってしまったのかと思っていたが、わかった。入社2日目にしてカゼひいてはった。びょ、病弱すか……。 もう11月なので忘れていたが、うちの会社、めちゃめちゃ寒いんだった。 元凶は、社長夫妻。 まず那須山中に別荘を持っていて、週末はそこへ「帰る」から、体感温度が都内でなく雪国。 ダンナのほうは、いきなり雪山の中ツェルト一枚でビバークして、「そういうわけで帰れない」と、携帯から会社に電話してくる山男。 はたまた奥さんのほうはと言えば、そんなダンナに鍛えられてか、分厚い脂肪で我と我が身を守ってる。「体脂肪率47%」って、聞いてもないのに教えてくれた。よくわからないんだけど体の半分が脂肪って、それはそれ自体何らかの病いではないのか。 私は、自分を動物にたとえたら、まず「樺太犬」だと思っている。丈夫で寒さに強く、粗食に耐え(おにぎりくらいなら食べる隙がある。年間推定250日の昼食=おにぎり)、元気で引っ張り続ける(何を)? かく言う私でさえ、近所の薬局で「しもやけの薬ください」と言い、店主(男性・推定70歳)に失笑された屈辱を経ている。よく考えたら、うちの会社で年間通して働いてるのは社長夫妻のほか、その毛布女と私だけじゃないか。人材不足と定着率の低さ、こんなところが原因かと今さら気づいた。そのなかで、「土曜日も来られますか?」というボスの問いに対し、その新人さんは言うのだ。鼻水たらしながら。 「私はこの3月まで普通のサラリーマンだったので、働かせてもらえる時間は働きたいんです」 ……残業代が出せないので、毎日8時間で帰ってもらってるのだ、このかたには。 京風おでん(2人前) ① 水1リットル 昆布20センチ ② 大根15センチ こんにゃく半丁 玉子2つ~欲しいだけ ③ 鶏骨付きブツ切りor手羽中or手羽先・練り物各300g ④ 壬生菜(水菜)半束 調味料:薄口醤油大さじ3 酒・みりん各大さじ2 ①を大鍋に用意する ②を切り分け、それぞれ下茹でする ③にそれぞれ熱湯をかける。鶏肉は、アクが出ればその後水洗いする。 ①に調味料を合わせ、②③を入れ、中火にかける。煮立ったら弱火で2時間放置。 ④を入れて、混ぜずに火を止め蓋をして蒸らす 生まれて初めて「牛すじ」入りのおでんを見たとき、正直びびった。江戸っ子だからね。 おでんに肉かよ。 その後、私も大きくなった。関西人の一種である京都人と結婚もした。しかし、鶏肉の入っている京風おでんを見たときのショックは、いまにして忘れられない。 もうどうでもよくなった。 鶏肉のコラーゲンと脂とで、スープは白濁している。野暮とは言うまい。それもおでんだ。 手間はかからないが、やたら茹でる・煮るパーツが多い。これが、風邪ひきに効く。 寝室と台所とが近ければ、眠りながら咳きこんでる人が静かになるくらいの威力はある。……いや、いい意味でね。 出来上がるまでに大量の蒸気を発生するところに、このおでんの徳はある。喉がいがらっぽいとき、加湿器よりも煮物かおでん。朝から蒸気を上げ、晩には熱々のところを、ふうふう言いながらいただく。 ……独身だったな、こんど来た新人さん。10月27日のブログを見ればわかるように、私は一体に、バカには優しいほうだ。しかも、こんどの新人さんと来たら、バカではない。 お願いだから働き続けてください。おでんは持っていけへんけど、せいぜい優しく接しますから。
by tokyo_ao
| 2004-11-03 14:40
| 料理/レシピ
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